ジルコニア以前のセラミッククラウン

審美歯科分野は、機能性と審美性を両立させることを大前提として、一長一短がありながらも素材や材質を精査し、セラミックやメタルボンドなどのバリエーションを生み出してきました。 古くは19世紀末に、ポーセレン(セラミック)を使用した「色や透明度が天然歯に近く、変質、変色、摩耗の恐れがない」が、「衝撃に弱く割れやすい」という欠点を持ち合わせた「ポーセレン・ジャケットクラウン」が実用化されました。 このセラミック特有の「衝撃に弱く割れやすい」という点は、技工観点から修復の応用に弱く「長く使用すること」における機能性を語る上でクリティカルなウィークポイントとなります。 1950年代には土台(フレーム)を金属で作成して周りを表面材としてセラミックでコーディングする「メタルセラミック」が開発されました。金属を使用することで審美性は多少劣るものの強度の面で高い耐久性を持つ「メタルセラミック」は今もなお世界で利用されています。 そんななか、最近注目を集めているのがジルコニアセラミックです。 ここ数年で発見された新素材!ではなく、今までの医療技術では加工が困難なため、実用化できなかったセラミックです。

ジルコニアの台頭

ジルコニアは高強度・高靱性のセラミックスで、審美性・機能性ともに歯科治療にとても適していました。しかし、焼結されたジルコニアは非常に硬く、歯科用に加工することができなかったのです。いくら審美的・機能的に優れていても患者様ごとに違う歯型に合わせて正確に整形することができなかった点が、今まで歯科治療に利用されなかった理由です。 しかし近年、CAD/CAMが飛躍的に進歩し臨床応用の可能性が広がり、改めてジルコニアが注目を集めるようになったのです。 完全焼結させたジルコニアブロックを直接切削するCAD/CAMシステムもありますが、大抵のシステムは、完全焼結前の比較的軟らかい段階のジルコニアを加工してから完全焼結させています。 ジルコニアは、焼結時に2~3割ほど収縮するのですが、最新のCAD/CAMシステムは、その収縮量を制御することができ、任意の加工が可能になったのです。

すべてのジルコニアは同じ?

良いことづくめのようなジルコニアですが、注意点もあります。 歯科技工所である弊社が気をつけているのはもちろんですが、一般的に意識されていない点なので今回を機に知っていただければと思います。 それは、「ジルコニアはすべて同じ性質を持っているわけではない」ということです。 化学式の上では「ZrO2」でジルコニアであることに間違いがなくても、歯科分野で使用する材料としてのジルコニアという側面で見ると、すべてが同じジルコニアとは言えないのです。 これは、材料(ジルコニア)を製造する工程(製造メーカー)に影響されます。その影響とは、最終的に患者様の口内に入る補綴物としてのジルコニアの品質に関わります。 具体的な明記はしませんが、100%科学的に組成したジルコニアを製造するメーカーだけではないということです。程度の差はあれど、純度の高くないジルコニアを製造するメーカーも存在します。 同じ卸業者様より購入したジルコニアであっても、製造メーカーの品質によって違いが出てしまう恐れがあるのです。 より美しく、より強く、より長持ちする審美歯科分野において、ジルコニアは今後のスタンダードマテリアルになってきています。 ただしジルコニア一択になることはなく、それぞれの素材にメリット・デメリットがあります。どの素材を選んでもその素材の持ち味を最大限に引き出し、豊かな生活を患者様に送っていただけるような歯科技工を、スリービーラボラトリーズではスタッフ一丸となって行っております。